65.続・覚醒とおっさん―1
グルゥら三人は、どたばたと馬車の幌の中で暴れていた。
「何故邪魔をするんだ、ミノン!! ブランの助太刀に入らなければっ!!」
「だ、だから落ち着いてグルゥさん! 今、それをするのは“悪手”なんだよっ!!」
祭壇の上でついに火蓋が切られた、ブランとヴラディオの戦い。
合図を待て、というブランの言葉を気にしていたグルゥは、すぐさま加勢に行こうとしたのだ。
が、それを必死で止めているのはミノンだった。
「なんでだよ、ミノンが嫌なら、オレと親父で行ってくるぜ」
「キットもダメっ! いいか、よーく考えてくれ、今、外にいる百人近くの兵士は、ブランとヴラディオの決闘の行く末を見守るために、手出しをしないんだ」
体を張ってグルゥを止めたミノンは、ぜぇはぁと息を切らしながら、なんとか説明を始める。
「もしもそこに、ボクらのような部外者が加勢したらどうなる?」
「それは……その部外者を排除しに動くだろう」
「それだよ! そこまで分かってたら、今、飛び出すわけには行かないだろ!? ボクら三人が加勢するのに対し、相手は一気に百人近くが戦力に加わるんだ。せっかく、ブランが作り出したこの状況を、無碍にすることになる」
ミノンの説明を聞いても、グルゥとキットは憮然とした表情をしている。
「理屈は分かるが……」
「心配で居ても立ってもいられない、優しいグルゥさんはそう思うだろうね。だけど、今はブランの仕掛けた決闘の行く末を見守ろうよ」
そう言って、ミノンは祭壇の方へと顎を向けた。
「ボクらが加勢するのは――決着がついてからでいい」
例えそれが、残酷な結果だったとしても。
ブランが勝てるわけないと踏んでいたミノンは、そう、心の中で付け加えた。




