63.五彩の騎士・白とおっさん―3
エルゼシュトとリーヴス。
まさに火と水の関係である二人は徹底して仲が悪く、出世争いを賭けて激しく競い合っていることは、ブランも知っていた。
「悔しかったら、あなたもそれ相応の結果を出してみればどうですか? そうですねぇ……姫を攫った魔人の討伐なんて出来たら、大金星になるでしょう」
「いや、だからそれは…………むぐぐぐ」
何かを言いかけたエルゼシュトだが、ブランの手前、その言葉を引っ込める。
(しかし今の言い方……私と魔人の関係については、勘付いているか)
リーヴスの眼鏡の奥の瞳は、言葉を発した瞬間、チラリとブランの方を一瞥していた。
まるで、ブランの反応を窺うような鋭い視線。
本当に食えないやつだと、ブランは肩をすくめてみせる。
「二人とも、私語を慎むように。もうじき、サリーメイア姫もこの場に到着するだろう。我々は部外者が実験場に立ち入らないよう、警戒をしなければならない」
「ああ、そうそう。私そういえば、そのことについて文句を言いに来てたんです。どうして、緑と黄色はこの場にいないのですか?
私達だけ働かされて、骨折り損ですよ、もうっ」
「翠騎士には召集の声を掛けたが、奴の性格だ、命令をちゃんと聞いてるかも分からない。磺騎士は……まだ、このような場面を見せるべきではないだろう」
「なんですか、それ。キャラ得ってヤツですか? あーあー、それなら私ももっと適当に仕事をしたいですし、隊長のお気に入りになってサボりたいですね」
これでもかという程の嫌味を込めて、リーヴスはブランに言った。
「まあ……そのようなやり方でいつまでその地位にいられるか。少しは考えた方が良いと思いますよ、隊長」
「どういう意味だ」
「そのままの意味です。それでは私は持ち場に戻りますので、また」
そう言って、リーヴスは片手を振りながら、その場から立ち去っていく。




