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63.五彩の騎士・白とおっさん―2

「余計なことに決まっているだろう」


 そうリーヴスに言い放ったのは、ブランではなく――ブランと共にワラキユ平野までやってきた、エルゼシュトだった。


「へぇ。それはどういう意味ですか? 赤さん」


「人を色で呼ぶのはやめろと言ったはずだ。……斬殺するぞ」


「おお、これは怖い怖い。で、私の質問には答えてくれますか? あ・か・い・の」


 リーヴスの挑発的な言動で、一気に場の空気が気まずくなる。

 ……が、ブランにとっては慣れきった日常茶飯事の光景で、また始まったかと遠巻きに二人のやり取りを見ていた。


「お前が姫を連れてきたことで、姫はわけの分からない実験に使われることになったんだぞ」


「そんなこと、私の知ったことではありませんよ。人体実験を行うと踏み切ったのは王の判断ですし、姫も自らそれを望んでいたと聞いています。そうですよね、隊長?」


 話を振られ、ブランは引き攣った表情のまま、小さく縦に頷いた。


(ああ……そうだ。どうして私は、あの時、サリーメイアをきっちり止めることが出来なかったのか)


 後悔の念が押し寄せるが、今となってはどうすることも出来ない。

 一方で、リーヴスとエルゼシュトの言い争いはヒートアップしていく。


「そんなこと、詭弁だ!! あの王に一睨みされて申し出を断れるものなど、この国にいるものか!!」


「おやおや、そんな大声で王の批判をするとは……反逆行為に当たるのではないですか? 赤さん」


「批判などではない……ッ! 俺はただ、お前のその狡猾なやり口が気に食わないだけだッ!!」


「またまた、そんなことを言って……。あなたが気に食わないのは、私が成果を挙げた、その事実に対してでしょう?」


 リーヴスの言葉に、エルゼシュトは顔を真っ赤にして、うぐっと言葉を詰まらせる。

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