62.続・告白とおっさん―6
寝袋の中で、ミノンはずっと考えていた。
“命”を持たないフォルの塊である自分に何が出来るのか――どうすれば、グルゥたちに恩返しが出来るのかを。
(元々、ボクはユグドラシズに造られた存在。そんなボクに意思を与えてくれたのは、ノニムなんだ。彼女がグルゥさんに会いたいと強く思ったからこそ、ボクはあそこから逃げることが出来た)
断片的に残っている景色は、祭壇のようなものがある真っ暗な部屋や、緑色の液体の中に漬けられた魔人の子供達。
どれも思い出したくない、思い出すだけで自我が崩壊してしまいそうな、恐怖の感情と共に記録された光景だった。
きっと、魔人の子供達が置かれた境遇をグルゥに話せば、グルゥは怒り狂い、またも黒き炎に支配されてしまうだろう。
(ボクのフォルによるサポートがなければ……グルゥさんはまだ、“血統の覚醒”で溢れ出す破壊衝動をコントロールすることが出来ない。ボクがうまく、グルゥさんの感情を誘導しなきゃ)
そのために、今まで随分と生意気なことを言った気がする。
だがそれも、どんな発言でグルゥがどんな反応をするか、一つ一つを記録するため。
(グルゥさんはきっと、自分がどんな目に遭っても怒ることはないんだ。一番の『憤怒』のスイッチは、大切な人に危険が及ぶこと)
それは確実だろうと、日中のグルゥの姿を思い返して、ミノンは確信する。
ミルププのことをあえて悪く言った瞬間、グルゥの目からいつもの優しい光は消えて、怒りの炎が見えた気がした。
(だから、まだ言うわけにはいかないんだ……この事実を知れば、グルゥさんは焦ってどんな行動をするか分からなくなる)
ミノンがグルゥに“告白”することが出来ない、一つの事実。
それは、ミノンがケントラムにて情報収集をしていた際の、一幕であった。




