表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
605/984

62.続・告白とおっさん―5

 ――コクア城内の一室にて。

 ハッと目を開けたツァイセは、自身が今どこにいるのか、それも分からずに困惑していた。


「あ、やっと目を覚ましたんですかぁ?」


 甘ったるい声が枕元でする。

 そこには、濡れたタオルを絞っている、『サタン』の血統の女の姿があった。


「お前は確か……イルスウォードの一員で、ニフラといったか」


「そうですぅ。ケントラムから脱出する時に、あなたが倒れていたので助けちゃいましたぁ。今までずっと寝てたんですよ、気は確かですかぁ?」


 そう言って、タオルでツァイセの体を拭いてやるニフラ。

 目の前に現れたバカでかい二つの膨らみに、何故か目のやり場に困ったツァイセは視線を逸らした。


「そう……か。少しずつ、思い出してきた。私は、異世界勇者に負け、そのまま操られて……」


「……その時の記憶は、残ってるんですね。あまり思い出したくないことは、思い出さない方がいいですよぉ」


 ツァイセは自身の誇りであった、二つの翼も斬り落とされたことを思い出し、悔しさに震えた。

 だが、それ以上に――開けてはいけない記憶の扉があった。


「そう、だ……それから私は、あの、『マモン』の子供と戦って……」


 目を見開いて、わなわなと震えだすツァイセ。

 異変を感じ取り、ニフラも体を拭いていた手を止めツァイセの肩に手をやる。


「ど、どうしたんですかぁ!? ちょっと落ち着いて――」


「ああ……あああああああああああああああああああああああああああああっ!!」


 響き渡る絶叫。

 誇り高き『ベリアル』の血統には似つかわしくない、恐怖に囚われての叫びだった。


「ダ、ダメだ……アイツは、アイツは危険すぎる……ッ!!」


 記憶が途切れる直前、ツァイセの脳裏に残っていた光景は――雷電を纏いし白き獣――そして――血の色に光る禍々しき眼光――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ