62.続・告白とおっさん―2
「何故だ?」
「だってそれじゃ……オレは、親父にとっての二番目の女じゃん」
もの凄く聞こえの悪い言い方に、グルゥは酸っぱいものでも食べたような渋面を作る。
「次女になるのが嫌だって言いたいのか?」
「そうじゃなくて!! ……親父にとって本当に大切なのは、その……実の娘の、方なんだろ」
キットの問いに――グルゥはすぐに答えることができない。
ノニムとキット。
どっちの方が大事かなんて考えたこともないし、順序をつけることも出来ない。
「やめろキット、そういう言い方は良くない」
「じゃあ、もしも、もしもだよ? オレとノニム……どっちかしか助けられないってなった時に、親父はどっちを助けるんだ」
聞き分けのないキットの質問に、グルゥは始めこそムッとしたものの――徐々に自分でも悲しくなって、言葉を詰まらせる。
「どっちも……この身に代えても、どっちも助けるさ」
「…………ごめんな、親父。親父は優しいから……こんなこと聞いたら困るって、オレでも分かってるから」
泣きそうな声を出すキット。
(そう、なのだ)
心の内を見透かされたようで、グルゥのキットを抱き締める腕の力が弱まった。
(キットの問いに、私は即答出来なかった。もしもそんな状況が来れば、きっと私は――)
これ以上、考えるのはやめようと、グルゥは首を左右に振った。




