62.続・告白とおっさん―1
グルゥの思考はフリーズした。
(親父と結婚!? そんな言葉がこの世に存在して良いのか!?)
戸惑うグルゥに、かつてノニムから言われた言葉が、天啓のように蘇ってくる。
「あ、ああ! 大きくなったらお父さんのお嫁さんになる、的なやつだな!?」
「そうじゃなくて! ……今、親父と結婚したいんだ」
再度フリーズするグルゥ。
口から魂が抜け出していきそうだった。
「別にいいだろ? オレと親父は他人同士なんだし、問題ないだろ」
「確かに、それもそうだな…………じゃなくてっ! 問題ありすぎだろ!? いくつ年が離れてると思ってるんだ!? それにお前は、そもそも結婚できる年じゃないだろ!?」
「それだって分かんないじゃん。自分で、自分が何歳か知らないんだし。親父は、オレと結婚するの嫌なのかよ?」
嫌というか、そもそもそんな発想に至ったことがなかった。
「結婚って……どういうことか分かってるのか?」
「オレと親父が家族になったって、証明になるんだろ。口約束とかじゃなくて、ちゃんと形にしておきたいんだ」
なんだ、そういうことかと、合点したグルゥはホッと胸を撫で下ろす。
「そういうことなら、私だってちゃんと考えてるさ。もしも旅が終わって、お前さえ良ければ……私は、お前を娘に迎えようと思っている。だから、心配するな」
「やだ」
返ってきた二文字に、グルゥはあれぇーっと大量の疑問符を浮かべた。




