61.告白とおっさん―3
毎朝の光景となっている、ミノンとグルゥの剣の訓練。
が、この場合師となっているのは、ミノンの方のようである。
「調子に乗るなーっ!」
怒って立ち上がったグルゥから、ミノンは慌てて飛び降りた。
「だって、グルゥさん弱いんだもん」
「お前が強すぎるんだ! なんでそんなに強い! ズルだろズル!」
「ええ……そんな子供みたいなイチャモンの付け方されても……」
グルゥから剣を回収するミノン。
二本のフォルブレードは、粒子となってミノンの体の中へと戻っていった。
「ボクの中にある、たくさんの魔人の子供たちの知識と記憶。どうもその中には、剣を習ってた子供も居たみたいだ」
そう言われても、毎朝のように良いようにやられているグルゥは納得がいかない。
「もーっ、親父のバカ、そんなんじゃまたミノンが調子に乗っちゃうだろ! 明日からは、オレが親父の代わりに戦ってやるよ」
野道の木陰で休んでいたキットは、二人のやり取りに茶々をいれた。
「オレだったら、短剣の心得はあるからな」
「お前はダメだ。まだ、本調子じゃないだろう?」
「いやいや、もう全回復だって! 心配性なんだよ親父は!」
そう言って、キットは腰のダガーを引き抜きながら立ち上がった。
だが、
「ぐはっ!」
吐血するキット。
顔色は蒼白である。
「言わんこっちゃないだろー!!」
グルゥは慌てて、キットの面倒を見るために走っていった。




