59.黒き炎とおっさん―8
「カエデ、話は後にしようっ!」
マリモはすかさず光の矢を放つが、
「百発百中、それは――」
ルルリリを庇うように、一歩踏み出すハヌ・トゥ。
正確にルルリリを狙った光の矢が、ハヌ・トゥの甲羅の前に弾かれていく。
「“当てどころ”まで正確に分かるというわけじゃ」
「ナイス、クソジジイ! 後はアタシのゴキゲンなマシンに、任せとけっての!!」
機銃を一斉掃射しながら、ルルリリは戦車で突っ込んでいく。
カエデが漆黒の炎を盾代わりに展開したが、ここまでの消耗も激しく、長い間は持ちそうになかった。
「くっ……ここまでなの……っ!」
「私も協力するからっ! 一緒に、この状況を乗り越えよう!?」
「うるさいッ!!」
マリモの言葉を、カエデは目を血走らせながら、頭ごなしに否定した。
「そんなこと言ってる暇があったら、さっさと何とかしてみなよッ!! 出来ないから私の力を頼ってるんでしょう!? この偽善者ッ!!」
刺すようなカエデの言葉に、マリモは傷ついた表情をして、後ずさる。
「そん……な……。ひどい。ひどいよカエデ」
「……この手は、あまり使いたくなかったけど」
刀を鞘にしまい、深呼吸をするカエデ。
ぎゅっと目をつぶり、何か意識を集中しているようである。




