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59.黒き炎とおっさん―1

「魔人……死すべし……ッ!!」


 腕から血を流す少女は、そう言いながらイルスフィアの荒野を駆けていた。


 追っ手の影は二つ。

 どちらも武装した『ベリアル』の兵士である。


「逃げるな、異世界勇者めッ!!」

「貴様を捕らえよとお達しが出ている。また、我が同胞を傷つけた罪は、決して許すことが出来ないッ!!」


「だからそれは……“異世界勇者違い”だっつってんだろ……ッ!!」


 少女は憎しみを込めた目で、二人の男を睨み返す。

 長い黒髪を頭のてっぺんで一つに縛り上げた少女の手には、一振りの“刀”が握り締められていた。


「止まれッ!!」


 ベリアルの兵士の手から、触れるものを切り裂く風の渦が発せられた。

 それは少女の右の太ももを掠め、バランスを崩した少女は転倒する。


「チッ……せっかくお気に入りの戦装束だったのに。また、アマツの人たちに貰わないといけないじゃん」


 少女が身に纏っていた服は、民族的でありながら動きやすさも考えられた、一般的に流通している洋服とは趣の違う装束であった。

 少女は傷ついた太ももを押さえながら、ついに刀を構え、やって来た二人の兵士に立ち向かう。


「お前らが……悪いんだ」


「なにッ!?」


「私は善意を持った魔人を襲ったりはしない。だけど、先に私の仲間を殺したのは魔人の方なんだ。本当は、魔人なんて根絶やしにしたいくらい憎んでいる……その憎悪を解放させたのは、お前らなんだ……ッ!!」


 少女の目から光が消え、薄く暗い靄のような目がかかった。

 その瞬間、少女が構えていた刀から、漆黒の炎が放たれる。


「チートスキル、『焔殺剣えんさつけん』」

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