57.赤き炎とおっさん―5
「うわ……なんだあの魔人」
「あんな小さい子の股間をまじまじと眺めてる……通報した方がいいのか?」
そんな声が周囲から聞こえてきて、グルゥはそのまま潰れて消滅してしまうんじゃないかと思うくらい小さく身を縮めた。
「よ、よせミノン。ヘンなことは止めるんだ」
「いや、ボクは真面目に言ってるんだよ。ボクの生殖器は、これまで一度も膨張したことがないんだ」
「だから何だ!? ……お、お前の要求には、応えることは出来んぞ……っ!」
「そんなこと言わないでよ、ボクは不思議に思ってるんだ。未だに膨張したことがないのは、フォルによる成長が足りないのか、それともホムンクルスには始めから生殖機能が存在していないのか」
ミノンの股間はまだ可愛らしい感じで、動物で例えるならぞうさん、記号で言うならωっという感じである。
「つまりねグルゥさん。ボクは……おっぱいが見たいんだ」
「…………は?」
あんなに可愛らしかったミノンの口から、そんな言葉が飛び出すとは。
その事実は、グルゥにとって非常にショックの大きなものだった。
「せっかくの露天風呂だし、ここは一度覗いてみてもいいかな? そうすれば、ボクの中に性的欲求が生まれるのかどうなのか、はっきりすると思うんだ」
「いや駄目だろ!? どのみちそれは犯罪だぞ!?」
「でも、ボクはボクのことが知りたいし、性的欲求ではなく知的好奇心から来る行動だから。この見た目なら、まあチビッ子のお茶目程度で済まされると思うんだよね」
「考え方がゲスい!! 頼むミノン、元のお前に戻ってくれ!!」
ミノンの小さな肩を掴んで、グルゥは必死に考えを改めさせようとする。




