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54.続・ジ・エンドとおっさん―3

 ――いったい何度、そんなやり取りを繰り返しただろうか。

 グルゥが丘の上に辿り着いた時には、既に満身創痍で、全身からだらだらと血が流れ出していた。


「…………ぐっ…………」


 教会の外壁につけられた時計は、十一時五十九分を指している。


 爆発まで、残り一分。

 散々アキトに煽られ、いたぶられながらも、懸命にここまで走り抜けてきた。


「ちッ、しぶといヤローだなッ! “衝撃波ハイパーソニック”ッ! “衝撃波ハイパーソニック”ッ! “衝撃波ハイパーソニック”ッ!!」


 アキトはグルゥの足止めをしようと滅多やたらに衝撃波を放ったが、グルゥは教会の扉に体当たりをして中に転がり込む。

 衝撃波は教会の壁にぶつかり、消えていった。


「大丈夫か、君たちっ!!」


 礼拝堂の中央には、縄で縛られた子供達が、シスターを囲むようにして集まっていた。


 泣きじゃくる子、祈りを捧げる子、諦めたように蹲る子。

 様々な子供達がいたが、爆発直前にやって来たグルゥに、その注目が一斉に集まる。


「た、助けてくださいっ、そこにいる子が爆弾を持たされていて――」


「分かっているッ、君達は身を屈めていなさいっ!!」


 シスターは必死に説明をしようとしたが、グルゥの怒声がそれをかき消した。

 言われるがまま、シスターと子供達は地面に這いつくばるように小さくなる。


 その前に立つミノンは、虚ろな目をして黒い球体を抱えていた。


「ミノンッ!! そんなもの、外に投げ捨てるんだッ!!」


 声を掛けても、案の定反応はない。

 力ずくで捨てさせるしかないと、グルゥは最後の力を振り絞り足を進めたが――


「チートスペル“戒めの枷(パニッシュメント)”」


 背後から飛んできた鎖付きの枷が、グルゥの左腕に食らいついた。

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