53.ジ・エンドとおっさん―11
嫌な予感にグルゥは顔をしかめる。
「何をした」
「あそこを見てくれ。十字架がついている建物があるのが見えるだろ? あそこは、この町の教会兼、孤児院みたいな場所なんだとよ」
アキトが親指で示した町の北部には、他の建物と距離を取るように小高い丘があり、確かにそこには言った通りの建物があった。
「あそこに“時限爆弾”を仕掛けたんだ。ガキ共が逃げないよう、一箇所に縄で縛って集めてな。アレが爆発しちまえば、十人以上はガキが死ぬだろうな」
「貴様……っ!! 本気で言ってるのか!?」
「親父、こんなヤツの言うこと聞くなって!! そんなの、本当かどうかも分からないだろう!?」
キットの言葉を待っていたかのように、アキトはスマートフォンを二人の前にかざす。
その画面には、礼拝堂の中央に固まっている、縄で縛られた魔人の子供達と、
「…………なん、だって……?」
その前で、黒い球体を大事そうに抱え立ち尽くす、ミノンの姿があった。
「何で、ミノンがそこに……!?」
「んなの、俺が知りたいっつの。俺はただ、血封門の奥にあるモンを取りに行っただけなのによー。都合よくコイツがいるんだもん、まさに運命の出会いだって思わない?」
スマートフォンを引っ込めたアキトは、右の手のひらに魔力の渦を作り始める。
それは手毬程の大きさから、人間の頭ほどにまで成長し、さらにはアキトの身長と同じくらいのサイズにまで膨れ上がった。
「すげーだろ、俺、血封門にあった超密度のフォルクリスタルを頂いて、相当レベルアップしたんだぜ? これだけの成長、褒めてくれよな?」
アキトが放とうとしているものは――今までのチートスペルとは格段に破壊力が違う、とてつもない魔力の塊だった。
「チートスペル“混沌の渦”」




