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6.過去とおっさん―3

「や、やめろッ!! お願いだ、許してくれ、それだけは――」


「それだけは? ……なんて、都合の良い話があるわけねぇだろッ!!」


 グルゥの懇願は、無情にも却下された。


 少年の剣が振り下ろされる。

 その剣先は確かに右角に命中し、黒角は粉々に砕けていった。


「ぐああああああああああああああああああああああああああっ!!」


 激しい痛みと出血で、グルゥは床の上をのた打ち回る。


 信じられなかった。

 まさか自分の半分以下、下手をすれば三分の一以下の年齢の少年に、種族としての誇りを打ち砕かれるとは。


 体格だって、二メートル近い巨躯を持つグルゥに対し、少年は吹けば飛ぶような華奢な体である。

 力で負ける要素など何一つ無かった。


 だが――それはそう、力比べをした場合の話だ。


 二十五年間、ずっと経理の仕事に就いていたグルゥは、武器など一度も手にしたことがなかった。

 グルゥの中には、初めから“戦う”なんて選択肢は存在していなかったのである。


「ギャハハっ、よえーなおっさん!! ちょーこえぇ顔の割に、全然強くないのな。道理で村の連中も、無抵抗のままやられていくわけだ」


「な……!? まさか、まさか貴様……!! 我が領民にまで手をかけたというのか!?」


 グルゥの問いに、少年はんー、ともったいぶった言い方をする。


「手をかけたっていうか、かけている……現在進行形かな? 今頃きっと、オレの仲間達が雑魚狩りをして、経験値を稼いでいるはずだぜ?」

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