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51.続・惨劇とおっさん―6

 ニフラは握り締めたダガーの切っ先をミルププの細首へと突きつける。


「やめなさい。こちらにはあなたの孫娘がいるんです。いくら暴君といえど、最愛の孫に傷が付くのは耐えられませんでしょう?」


 ニフラの怜悧な一言に、デルガドスの動きが止まった。


「やれるものなら、やってみせい――」


「私は……私達は、本気です」


 チクリ、と痛みを感じてミルププはぎゅっと目をつぶる。

 首筋から、一滴の血が流れていくのを感じた。


 だが、きっとダメだろう。

 デルガドスには一切懐かず、ずっと邪険にすら思っていた――そんな自分のために敗北を許すはずがないと、ミルププはそう確信し、ゆっくりと目を開ける。


「…………ぁ…………」


 信じられなかった。

 “白鯨”の姿のデルガドスが、膝をつき、低く頭を垂れ唸り声をあげている。


「じぃ……じ…………?」


「そうだな……お前には謝っておこう、ミルププ」


 まさかあの暴君が、自分のためにここまでの行動を起こすとは。

 凍り付いていたデルガドスへの感情が少しずつ解けていくのを感じ、ミルププの目に熱いものが溜まっていく。


 しかし――その感情は、一瞬で跡形も無く砕け散ることになる。


「我が覇道のため、お前も礎になるのだ」


 デルガドスが姿勢を低くしていたのは、確実に“炎”を当てるためだった。

 その口から雄叫びと共に放たれた業火が、ミルププとニフラを包み込まんと襲い掛かっていった。

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