51.続・惨劇とおっさん―1
「もーっ、なにゃってるの……!」
ミルププは頭を抱えていた。
もうまもなく会談が始まろうとしているというのに、朝からサリエラは行方不明で、イモムシを通じて連絡を取ろうとしても反応がない。
それどころか、感覚を共有しているはずのイモムシに、一切のアクセスが出来ないのだ。
まさかトラブルに巻き込まれたのかとも考えたが、サリエラは協力を頼むアテがあると言っていたはず。
「むむむ……」
「あれぇ? ミルププ様、こんなところに居たんですか?」
ノックも無しに部屋の扉が開いたので、ミルププは飛び上がってベッドの中に潜り込んだ。
「び、びっくりした」
「デルガドス様がお呼びでしたよ。王族の一人として、ミルププ様も会談に参加させるか、って」
「……ぇ、ぇぇ。なんで、私が」
突拍子もないデルガドスの意見に、ミルププは頭を抱えた。
というか、そんな簡単に、飛び入り参加みたいなことをしてもいいのか、と。
「あ、私は会談中の給仕などの仕事がありますから。要は、それに一緒に参加しないか、ってことですよ」
「む……むりむりむり! そんなこと、したこともないしっ。お茶のぃれかたも、ゎかんなぃし」
「だから、そういう経験を積むのも大事ってことですよ。ほら、ミルププ様は可愛いから、きっとみんなも受け入れてくれますっ」
ミルププは最大限の抵抗を試みたものの、ニフラに強引に引っ張り出され、メイドの控え室へと連れ去られていく。




