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50.惨劇とおっさん―4

 カラン、と氷の音がしてサリエラの意識は目の前に引き戻された。


「あの時、姫は仰られました。魔人に手を出すのであれば、自分を連れて行けと。今回呼び出したのは……そういうことなのですか?」


 大嫌いな冷笑が、再び目の前に現れている。

 サリエラは眩暈を感じながらも、毅然とした口調でリーヴスに立ち向かった。


「ええ。お父……いえ、グルゥ様は今、イルスフィアに迫った未曾有の危機を解決しようとしているのです。ですからリーヴス、あなたにもそれに協力して欲しい」


「そんなことをして、私には何のメリットが――」


「代わりに、私を見つけたことにして、あなたは私を城に連れて帰りなさい。……それで十分、あなたの地位も名誉も守られるでしょう? あの時、私があなたに申し上げた通りです」


 一緒にいることで、グルゥに迷惑がかかるのなら――

 自分が犠牲になっても構わないという、それがサリエラの決意だった。


 リーヴスはわざとらしく脚を組むと、コップを傾け、カランカランと氷の音を鳴らす。


「確かに私は、いずれ姫の方からジルヴァニアに戻るのを条件に、あの場では姫を逃しました。それを認めなかったところで、痛い目を見るのは私の方ですからね。姫が素直に連れていかれるとも思えないし、かといってお姫様に傷をつけるわけにもいきません。いやぁ、中間管理職の辛いところですね」


 冗談のつもりなのか大真面目に話しているのか、表情一つ変えずに話すリーヴス。

 まったく読めない心の内に、サリエラは次第に、リーヴスに話をしたのは間違いだったのではないかと不安になってくる。

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