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47.続・プライドとおっさん―5

 ほんの一瞬の目くらましだが、その時間があれば十分だった。

 ガンッ、と爪の先に硬い感触が返って来たのを感じ、ウルヴァーサはグルゥがその場にいないことに気がついた。


「子供騙しの悪あがきかよッ!!」


 大きく翼をはためかせ、水蒸気を吹き飛ばすウルヴァーサ。

 だが、その先に現れたものを見て、翼の動きが一瞬止まった。


「……ここまで、取りに来るのに……だいぶ時間がかかったよ」


 グルゥが手にしていたのは、ウルヴァーサによって投げ捨てられた、自身の右腕だった。


「おいおい……本気か? アンタ」


 ウルヴァーサの表情が引き攣る。

 グルゥは千切れた右腕を、関節の断面に強引にくっつけようとした。


「ぐああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」


「いやいや、頭沸いてんだろ……? ンなことして、元通りになるとでも――」


「ヒントをくれたのは、お前だよウルヴァーサ……! 穴が空いた体でも、お前の“竜化”は正常に行われようとしていた。それなら……っ!!」


 ここまで抑えてきた『憤怒』の感情。

 だが、こうなればもはや感情をセーブする意味もなかった。


「ガァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」


 四本足の魔獣は、一筋の熱線をウルヴァーサ目掛けて照射した。


「――は?」


 気がついた時には、穴の空いたウルヴァーサの体は、跡形もなく消し飛んでいた。

 頭だけが、ポーンとボールのように飛んで転がっていく。


 一瞬遅れて、世界の終わりのような爆発音と、フロア一帯を埋め尽くすほどの水蒸気が立ち上った。

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