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「――あああああああああっ!!」


 アキトに突き飛ばされ、悲鳴をあげて尻餅をつくマリモ。

 ゲンロク殺しの犯人がアキトではないかと追及しようとした、その矢先のことである。


「あんまり騒ぐなよ……馬鹿な村人たちが目を覚ましたらどうすんだ」


「どうすんだ、って……やっぱり、あなたがゲンロクを殺したのね!? アキトッ!」


 信じられない、いや、信じたくなかった。

 性格に難しいところもあったが、今までずっと仲間だと信じていたアキトが、そんな凶行に及ぶなんて。


「仕方ねーだろ。アイツ、グルゥをここに呼ぶつもりだって言ったんだ。俺達を裏切ったんだよ。これも、みんなを守るためなんだって」


 淡々と語りだすアキト。

 そのあまりにも平坦な語り口に、マリモはゾッとして後ずさる。


「違うよ……きっとゲンロクは、話し合って解決する道を選ぼうとしたんだ。ゲンロクが私達を裏切るなんて、絶対にない」


「いやいや……これだから、脳味噌の足りない平和ボケした連中は困るんだよ。俺らはアイツの娘を拉致してるんだぜ? そしてその娘は……もうフォルの材料になっちまったんだ。それを聞いて、あの化け物が俺達を許すと思うのかよ?」


 アキトの問いに、マリモは何も答えない。

 いや、答えられなかったのだ。


「それともマリモ先輩も、俺を切り捨てて、自分だけ良い子ぶって許されようとしてんのかよ? まあ、俺に全ての責任をなすり付ければ、それで万事解決かもな」


「そ、そんな……そんなこと、私は考えてない……っ!」


「なぁ……どうして俺が、こんなに必死になってこの異世界で生き抜こうとしてるのか、まだ分かんねーのか?」


「…………え?」


 月明かりに照らされたアキトの顔は、これまで見たことがないほどに弱々しく、今にも泣き出しそうな子供のような表情だった。

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