表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
453/984

46.プライドとおっさん―4

「ったく、俺を誰だと思ってるんだ? 一騎当千どころか、一騎当万とまで恐れられていた“将軍ウルヴァーサ”だぜ? 武術だけでなく、魔法の扱いもお手の物ってわけだ」


 徐々に弱まっていく竜巻の勢い。

 竜巻の内部の様子が徐々に見て取れ――竜化したウルヴァーサの口元が、満足げな笑みを浮かべた。


「だからさァ……そうやってさっさと、本気で来いッて言ってんだよッ!!」


 全身が黒い剛毛で覆われ、魔獣化したグルゥの肉体。

 だが、鋼をも凌駕するはずの硬度を持った皮膚は、既にズタズタに引き裂かれていた。


 腕の中のキットは、グルゥの全身が血まみれになっているのを見て、泣きそうな声を出す。


「お、親父、ゴメンっ。オレ、また足を引っ張って――」


「いや……さっきはこっちが助けられたんだ。これでおあいこ、ってところだな」


 口調こそいつも通りだが、グルゥの声に力は無く、かなりのダメージが入っていることが分かった。

 ウルヴァーサはそこに容赦なく次の一撃を喰らわせようとする。


「次はそのデカブツの体に、風穴空けてやんよッ!!」


「だからキット……私からも、改めて頼む」


 まだ理性を失うほどの魔獣化はしていない。

 サグレスタワーの時の二の舞は御免だと、グルゥ自身、気をつけているからだ。


「私の相棒として、ウルヴァーサとの戦いに協力してくれ」


「――っ!!」


 ウルヴァーサの力は圧倒的だった。

 一人では敵わないと、グルゥははっきりと、そう感じていたのだ。


 だから、今まで戦いに巻き込むことなど考えたことも無かったキットに、そう告げた。

 キットがハッと顔をあげた瞬間、ウルヴァーサの手から放たれた竜巻が再び二人を包む。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ