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46.プライドとおっさん―2

 その殺気を全身に浴び、キットの耳と尻尾の毛が逆立つ。

 本能で分かった、この“竜”は、自分を獲物として見ているのだと。


「させんぞ」


 そこにグルゥの拳が、今度こそウルヴァーサの横っ面にヒットした。

 キットへの怒りで我を忘れていたウルヴァーサは、大きく吹き飛ばされ氷の壁に叩きつけられる。


 これまでの相手であれば――その一撃で、カタが付いていただろう。


「ってて……人が変身途中だってのに、何でもありかよ。これじゃ、どっちが悪役か分かんねーな」


 ウルヴァーサの口は大きく裂けていた。

 だがそれはグルゥの拳の威力ではなく、変貌を遂げようとしている途中であるからだ。


 にょきにょきと前方に突き出した顎に、鋭い牙が生え揃う。

 以前にもグルゥはゴブリンが変身したドラゴンを相手にしたことがあったが――ウルヴァーサはそれとは違う、あくまでも人型を留めた状態の、“竜人ドラグーン”である。


「ミノンのような幼い子供を連れ回した挙句、今さら正義面をするのか」


「はは……。確かにやってることは、どう考えても俺が悪だよな」


 自嘲気味に話すウルヴァーサ。

 その体に纏う空気が一変して、グルゥとキットはハッとして身構えた。


「分からせてやるよ……この世界じゃ、力があるものが正義だってことをなッ!!」


 赤い鱗に覆われた腕を、ウルヴァーサは高く掲げた。

 何をするつもりかと、グルゥは警戒したが――


「ミンチにして、美味しく頂いてやるぜェッ!!」


 その手の先に集まったのは、荒れ狂う風の塊。

 触れた瞬間に細切れになりそうな風刃の竜巻が、グルゥとキットにそれぞれ放たれた。

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