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「――た」


 ゲンロクとミクの姿がなくなった、翌日のこと。

 夜、一人で外に出ていたアキトは、気配を感じてハッとして振り返った。


 そこに居たのは、マリモだ。


「……なんだよ、マリモ先輩かよ。おどかすなって」


「その背中に……何を隠したの?」


 右手を後ろに回したアキトを見て、マリモは恐る恐る質問をぶつける。

 アキトは夜空を見上げ、少し思案した後――正直に、右手に握ったものを前に出した。


「それって、ユズの――」


「『|異世界式電子式多機能式端末アクセス・デバイス』だったっけ? 相手をゲームの世界に取り込んだりする力は使えないけど、ちょっとググるくらいなら俺でも出来るみたいなんだ。便利だぜ、イルスフィアで今何が起こってるか、簡単に調べられちまう」


 そう言って、アキトはマリモに見せびらかすようにスマートフォンを掲げた。


「ま、最低限、壊れちまったアイツにも生き続けてもらう必要はあるってことだな。死んだらスマートフォンがどうなるのか、そこまでは分からねぇからな」


「そういう言い方、やめてよ……! どうやってユズの心を元に戻すのか、それを考えるのが先でしょ?」


「……ふーん。ま、俺にはそっちの方が、雲を掴むような話に聞こえるけどね」


 ユズは納屋の中で一人で寝ている。

 つまりこの場には、アキトとマリモの二人しかいないことになる。


「…………あの、さ」


 この時を――マリモはずっと待っていた。


 少しずつ集まった仲間が、一人、また一人と欠けていき――

 仲間の輪を乱したくないと、心の内に押し込んでいた、今までの疑念を吐き出すこの瞬間を――


「ゲンロクが……殺されたことについてなんだけど……」


 出来る限り平静を装うつもりが、その声は震えていた。


「…………あァ?」

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