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45.氷の世界とおっさん―6

 二人のやり取りは、怒りで我を忘れかけているグルゥの視界には入っていなかった。


「これ以上、お前と余計な話を続けるつもりはない……! 返してもらうぞ、ミノンを……!!」


「まぁまぁ、少しくらい俺の話を聞けっての。まずは見てくれよ、この血封門イルゲートの鍵だが――」


 そう言って、ウルヴァーサがコートの内ポケットから取り出したのは、黄色い螺旋状のオブジェクトだった。

 手のひらサイズの大きさだが、その形は非常に入り組んでいて難解であり、立体魔法陣と呼ぶにふさわしい形状だ。


「あまりにも複雑で、ミノンの力を持ってしても解析に時間がかかっていてだな。要は壁の魔法陣に対応した形の鍵を作れれば、ここを開くことが可能であるようなのだが――」


 ウルヴァーサはそう解説を始めたが、直後、猛突進の勢いで突っ込んできたグルゥの拳に頭を粉々に砕かれる。


「聞く耳持たんッ!!」


「おいおい、それはお約束破りだろ」


 砕かれたのは、氷の壁に映り込んだ姿の方だった。

 とっさに姿勢を低くしたウルヴァーサは、グルゥの奇襲を避けていたのだ。


「せっかく人が、良いことを教えてやろうとしてんのにさァッ!!」


 コートを内側から突き破って、ウルヴァーサの背中に二つの翼が生える。

 それは防寒のため着込んでいた“枷”を外すための、最短行動だった。


「隙だらけだッ!!」


 大振りの一撃を繰り出したグルゥは、まだ体勢を立て直せないでいる。

 ガラ空きになったグルゥの胴体を、コートの下から抜き放った剣が真一文字に斬り裂いた。

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