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44.続・魔女とおっさん―8

「何それ……嫌味なの」


「本当に。私は守り人で、ずっと生まれてから今まで秘境の中で暮らしているのですけれども……過去に、一回だけ外の世界に出た時があって、世の中にはいっぱい綺麗な人や格好良い人がいるんやなぁって、驚いただぁ」


 少し地が出てしまったのか、訛り口調で話すルッタ。


「まあでも、キットくんみたいな子に綺麗なんて言われるのも、それはそれで悪い気はしないです……だ」


「……オレ、女だけど」


「ええっ!? そ、それはそれは失礼いたしました……だ」


 結局、機嫌を悪くしたキットを見て、はは、とグルゥは苦笑いを浮かべる。


「でも、珍しいんじゃないか? 守り人が外の世界に出るなんて」


「あっ、それは…………。……まあ、どうしてものっぴきならない事情があって。あまり良い思い出でもないし、思い出したくもないのです……だ」


「……まあ、守り人が持ち場を離れるくらいだ、大変なことがあったのだろうな」


 同情の意を示したグルゥを見て、ルッタはぽーっと頬を赤らめる。

 元が透き通るように白い肌であるため、その紅潮は尚のこと目立った。


「もしも、連れ出してくれたのが……あなたみたいな優しい人だったら……」


「……ん? 何か言ったか?」


 俯きがちに小声で呟いたルッタの言葉は、グルゥの耳には届いていなかった。


「い、いえ。何でもないです……だ」


 慌てて取り繕うルッタだったが――鋭敏な聴力を持つキットには、その言葉は一字一句間違いなく聞き取れていた。


「なんだよやっぱり……デレデレじゃんか」


 その視線は、グルゥではなくルッタの方にじっと注がれていた。

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