42.決闘とおっさん―10
ゲンロクはグルゥの言葉を素直に受け止めた。
「分かったッス。グルゥさんの仲間が無事であるように、俺も祈ってるッス」
「はは……それは少し、心強いかな」
「それだけじゃないッス。もしも、グルゥさんの問題も、こっちの問題も、全てがうまく片付いたら……俺も、グルゥさんと一緒に旅がしたいッス」
「ええ!? それはどういうことだい!?」
「そのままの意味ッスよ。グルゥさんは俺の理想とする強い男なんス。その強さがどこから来るのか、間近で見てみたいんス」
予想だにしなかったゲンロクの申し出に、グルゥは困惑する。
「い、いや別に……俺は別に強くはないぞ。ここまで来るのにも何度も死にかけているし、多くのものを傷つけてきた。君の理想には、程遠いさ」
「そんなことないス。グルゥさんは俺が会ってきた中でもでっかいでっかい心を持った、男の中の男ッス」
「そこまで言われると……さすがに恥ずかしいぞ」
「それに、勇者戦争の成り行きについては、グルゥさんにも知っていて欲しいと……そう思ったんスけど、さすがに迷惑ッスかね?」
異世界勇者の彼らが強いられている勇者戦争。
それが魔人の子供誘拐事件に繋がっているのだとしたら、確かに見過ごせないところではあった。
「まあ……お互いに、うまく行ったらな。話はそれからにしようじゃないか」
「やった! 約束ッスよ」
まだ良いとも言っていないのにと、グルゥは頭を抱えた。
だが、異世界勇者の一人でもあるゲンロクの協力を得られるのは、グルゥにとって非常に心強いことであった。




