42.決闘とおっさん―5
ゲンロクの話は続いた。
「俺達、七人は、みんな同じ地域に住んでるガキなんス。地域の行事として、小学生から高校生まで参加できる、夏の臨海学校に参加してたッス。そこで今回の異世界転移に巻き込まれて……だから、俺達は全員顔見知りで、友達だったんスよ」
「ま、待て、七人……? 異世界勇者は、七人もこちらの世界にやって来たというのか……!?」
グルゥの知る限り、出会った異世界勇者はアキト、マリモ、ユズの三人組と、ゲンロク、ミクの兄妹コンビ。
つまりまだ会ってすらいない異世界勇者が、あと二人も居ることになる。
「俺らもまだ、アキト達としか合流してないんスけどね」
「そこで、良からぬことを吹き込まれたと……そういうことか」
悪知恵の働くアキトの考えそうなことだと、グルゥは深く嘆息した。
しかし、サグレスタワーでの一件以来見ていなかったアキトが、またこうして邪魔をしてくるとは。
本当に面倒なヤツだと、頭が重くなるのを感じる。
「良からぬことかどうかは、グルゥさんの本心を確かめないことには分からないッス」
「……ああ、そうだな。お前からしてみれば、大事な友達を傷つけられたというわけだ。そう言われれば……私は、君から恨まれてもしょうがないだろう」
「大事な友達って言われると俺も素直には頷けないスけどね。だけど、俺は七人の中でも最年長で、みんなを守る義務があるッスから。……それよりも許せないのは、ユズのことッス」
ユズの名が出た瞬簡に、ゲンロクが背負う闘気が一気に膨れ上がる。
「アイツはまだ小学生で……そんな子供を、あんな酷い目に遭わせるなんて……!!」
鋼に覆われた目が赤く光る。
グルゥに対する明確な怒りの感情が、そこにはあった。




