EX6.ラッパーとおっさん―1
それは時を遡り、グルゥ達がヌエツトを出発する前のことである。
「荷物の準備は出来たのか? ミルププ」
グルゥは旅慣れしていないだろうミルププを心配して、その様子を見にミルププの部屋まで来ていた。
その後ろからは、キットとサリエラがそろりそろりと付いて来る。
もちろん、妙な罠を踏まないか警戒しているのである。
「……もちろん、出来てるよ……ぉじ様……」
「のわっ!? 出来てるって、お前の体と同じくらいの荷物の量があるじゃないか!? しかもほとんど中身が本!? 少し見直せって!」
案の定、滅茶苦茶な荷物の入れ方をしていたミルププを見て、グルゥは慌ててその仕分けを手伝うことにする。
そこでグルゥが見つけたのは、『絶対見るな、見たら殺す』と丁寧に注意書きがされた一冊の黒いノートだ。
「あ、このノート……懐かしいな。お前が十四歳の頃に書いてたヤツじゃないか」
「っ!? ダ、ダメ、おじ様それはっ!!」
それまでの小声は何処へ行ったのやら、はっきりとした口調で言い切ってミルププはグルゥを止めようとした。
が、時既に遅し。
「ミルププは一時期、詩に凝ってる時期があったんだ。私は結構好きだったんだぞ?」
そう言ってグルゥが開けたページには、
『ミルププ☆ロック 作詞・MIRUPUPU』
『YO ミルププから始まるこのゲーム 乗り切りゃオレら一つの輪』
『オレのオカズ お前犯す 傍から見りゃそれは混沌』
『ミルってんの? ププってんの? そこら辺 曖昧にしとけ』
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!」




