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###隠れ家にて###―2

 下品な笑みを浮かべるアキト。

 クソ親父、という言葉を聞いてゲンロクが反応した。


「お前達は……ユズが戦った相手を知ってるのか?」


「知ってるも何も、コイツは俺の敵討ちに行ったんだよ。俺の体の半分をこんな姿にしたのも、ユズの精神をぶっ壊したのも、多分同じ『サタン』のおっさんだ」


「『サタン』の……? もしや……少し、話を聞かせてくれないか?」


 ゲンロクに聞かれて、アキトはこれまでのグルゥとの因縁についてを語る。

 もちろん、自分がグルゥの娘を連れ去ったことは伏せて、異世界勇者を狙う魔人が居ると、散々脚色をしての話だが。


 傷だらけのゲンロクは、それを聞いて、その怪我の状態を忘れるほどの勢いで立ち上がった。


「う、嘘だ。グルゥさんが、そんな――」


「グルゥ“さん”? なんだよ先輩も、もうあの魔人に会ってたのか?」


 その事実に気付いた瞬間――アキトの口元が、一瞬だけ醜悪に歪んだ。


「少しだけ、二人で話をさせてくれないか? 先輩」


「ダ、ダメ! にぃにはまず、ゆっくり休息を取らないと」


「休息なんて後でいいだろ。それにミク先輩には、ユズの容態を見てもらわないといけないし。……あまり、女が居る前ではしたくない話なんだ。いいよな、ゲンロク先輩」


 アキトはチラリとマリモに目をやる。

 ゲンロクを思うように動かすためには、どうしてもマリモの存在が邪魔だったからだ。


「分かった。……外で話そうか」


「助かるよ。ゲンロク先輩には、どうしても……真実を、いや、俺がこの目で見てきた事実を知って欲しいんだ」


 アキトとゲンロクは二人で連れ立って納屋から出て行く。

 残されたマリモはその不穏な動きよりも、変わり果てた状態で戻ってきたユズのことが心配で、アキトの真意には気が付いていなかった。

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