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5.異世界勇者とおっさん―2

 港町“テュルグナ”。


 現在グルゥたちがいる“ジルヴァニア王国”は、いくつかの公国を擁し、その内の一つである“アルゴ公国”の領内にある、貿易の盛んな賑やかな町だ。

 だがそれは――あくまで“アルゴ公国”の表向きの顔にしか過ぎない。


 アルゴ公国にはもう一つ、“サグレス”という町が存在し、そここそがお館様――アルゴ公の根城であり、そこは金と暴力が支配する、腐敗した町となっていた。


 グルゥはそこに乗り込み、一度アルゴ公に直接話をしてみようと考えているのだが、当然そんな場所にキットを連れ戻すわけにはいかない。


 そのため、まずはテュルグナへと向かい、安全な場所でキットに待ってもらった上で、今一度サグレスへと出発しようと考えていたのだ。


「へー、それで王国と公国の違いってのは何なんだよ?」


「王国ってのは、その名の通り王様が支配している国のことだ。んでもって、公国はその中で、権力を持つ貴族が独自に支配をしている国のことだよ。分かったか、チビスケ!」


「ん? じゃあ、王国は公国より偉いってこと?」


「そういうことだな。当然のことながら、公国は民から税を徴収し、その税の一部はさらに王国へと収められる。王国は公国にある程度の独自の権力を与える代わりに、美味しい汁は吸わせてもらうって寸法だ!」


「ん? ん? ん? じゃあ、やっぱ王国は公国より偉いんだね?」


「ったりめぇぇぇぇぇだぁぁぁぁぁぁ!! 何回同じこと聞いてんだこのバカ娘がぁぁぁぁぁぁ!!」


「バ、バカって言うな!! 分からないから勉強しようとしてるんだろ、このウジムシ!」


「ウジムシじゃねぇ、イモムシだ!!」


 ミルププと口汚く言い争うキットを見て、グルゥは頭を抱えていた。


 ミルププも根は悪いヤツではないのだが、常に喧嘩口調だし、キットとはすぐに口喧嘩になってしまう。

 それでも根気よく『アガスフィア』のことを教えようとしているあたり、キットのことを嫌っているわけではないと思うのだが。


「あらやだ、何もない空間と話しているわ、あの子」

「可哀想な子かしら」


 如何せん、町中を歩くには目立ちすぎた。

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