41.ゲートとおっさん―6
「じゃあ……落ち着いたら、ヌエツトで落ち合おう」
ドラグロアの出入り口である水門にて。
グルゥと三人の娘達は、それぞれの目的地に向かう準備をして、お互いに別れの言葉をかけ合っていた。
「本当に、二人で大丈夫ですか? もしもウルヴァーサが大軍を率いていたら――」
「大軍相手に、私が負けると思うのか?」
そう言って、グルゥはわざとらしく笑うと二の腕の力こぶを見せ付けた。
サリエラは顔を赤くして、ぷいっとそっぽを向いてしまう。
「お、お父様のえっち!」
(どこがだ!?)
未だにサリエラのツボはよく分からなかった。
「つーか二人じゃねぇぜ! 何しろ、俺様が付いてるからな!」
「ミルププがいるのにミルププが喋ってる! 何これすげー!」
(ややこしいから今は普通に喋ってくれないかな……)
グルゥの肩には、ミルププがドラグロアで調達した新たなイモムシが乗っている。
国によって個性が出るのか、今度は水色のイモムシで、何となく涼しげだった。
「……ミルププとサリエラは、一度ケントラムまで戻る……そこでサリエラと別れて、ミルププはヌエツトまで戻る……」
「うむ、よく覚えられたな。偉い偉い」
グルゥがミルププの頭をぽんぽんと叩くと、キットとサリエラはイラッとした顔をした。
「お、親父……ミルププはもう大人なんだから、それくらい覚えられて当然だと思うぜ……?」
「そ、そうか? だけど一番小さいし」
「小ささは関係ありませんっ! ミルププは立派な大人ですっ!」




