41.ゲートとおっさん―5
「ただし、条件がある。……ミルププを連れて行け」
「…………ぇ?」
急に話を振られて、ミルププも驚いて固まった。
「ど、どうして、ぉじ様? ミルププもぉじ様と一緒に――」
「イルスウォードに対抗するには、お前の力が必要なんだ。……分かるだろ?」
諭すようなグルゥの言葉に、ミルププは押し黙った。
どういうことか分からないキットは、ただ首を傾げるだけだ。
「お父様、ミルププの知識は私達の中でも抜きん出ています。ミルププはお父様が連れて行くべきでは?」
「もちろん、私とキットにも同行してもらうさ。そして、サリエラにも付いていってもらう」
グルゥの言葉に、今度はサリエラも首を傾げる。
が、すぐに指をパチンと鳴らして納得した。
「なるほど……ミルププのイモムシモードを利用するわけですね!」
「イモムシモードじゃなくて……あれはファミリア……」
「ミルププ自身には、一度ヌエツトに戻って欲しいんだ。この状況、デルガドス王の力を借りることも考えなくてはならない」
結局別れるんじゃん、と頬を膨らませて怒るミルププ。
「……ミルププも、一緒に行きたかった……」
「その気持ちは有り難いが……翡翠の“血封門”に向かうためには、さらに北上する必要がある。それはミルププにとっても、良いことじゃないだろう?」
ミルププは何も言い返すことが出来ず、ただ悲しげな表情で俯くだけだった。
キットとサリエラはそのやり取りを不思議そうに見ていたが――わざわざ言うべきことでもないと、グルゥは黙ってそれを見ていた。




