41.ゲートとおっさん―2
宝石の名を冠する三つの“血封門”については、それぞれの血統が独自の術式により封印を掛けていた。
琥珀の“血封門”は『サタン』と『アスタロス』。
瑠璃の“血封門”は『マモン』と『レヴィアタン』。
翡翠の“血封門”は『ベルゼブブ』と『アスモデウス』、そして『ベリアル』。
「つまりウルヴァーサは……翡翠の“血封門”を封印している、三つの鍵の内の一つを手に入れたということだな」
「そぅ……だけどもしかしたら、状況はもっともっと悪い方向に進んでいる可能性がぁる……」
意味深なミルププな言い方に、思わずグルゥは声を潜める。
「どういうことだ」
「あのウルヴァーサが、本当に過去の英雄で……復活の儀式により現世に蘇ったのだといたら……そんな高度な闇魔法、『ベルゼブブ』にしか使えないはずだから……」
「既に二個目の鍵も手に入れている可能性もあると。そういうことだな」
重いため息をつくグルゥ。
ミノンを追ってここまで来たはずが、いつの間にか、話は『イルスフィア』全土を巻き込んだ大きな争いへと発展していきそうだった。
「それと、あのミノンとぃぅ子……あまりにも、フォルへの適性が高すぎる……下手をしたら、鍵の一つくらい、あの子の力で抉じ開けられてもぉかしくなぃ……」
「……なんだって? それじゃあウルヴァーサは、もう翡翠の“血封門”の最深部まで辿り着けるかもしれないのか?」
もしも、そうなったとしたら――
グルゥの疑問は、ミルププによって先に答えられていた。




