41.ゲートとおっさん―1
次にグルゥが目を覚ました時、そこは見知らぬ病室だった。
そこがドラグロア内の病院だと聞かされたのは、サリエラがお見舞いに来た時のことだった。
「一応、私達は、ドラグロア王の命を救った救世主ということになっています。ですが――」
辛うじて一命を取り留めていたドラグロア王。
しかしそれは、グルゥ達の活躍によるものではない。
ミノンによって行われた、グルゥ達を結晶の中に閉じ込める行為。
それに巻き込まれるような形で、瀕死のドラグロア王も事切れる前に結晶の中に匿われていたのである。
これがミノンが意図したことなのか、それは誰にも分からない。
ただ一つ事実として、ミノンとウルヴァーサは、グルゥ達が目を覚ました時には何処にもいなかったということだ。
「……宝物庫から、一つ、ぉたからが盗まれてた……」
サリエラと入れ替わりでやって来たミルププが、その事実を告げる。
「“血封門”の鍵……ぉじ様なら、それでもう分かるでしょ」
そういうことだったのかと、グルゥはベッドの上で頭を抱える。
“血封門”。
それは血統の力により封印された、『イルスフィア』にある三つの遺跡の総称である。
その遺跡の奥には、『イルスフィア』では通常存在し得ないほどの、巨大なフォルの結晶があるとされ、それらの力により『イルスフィア』の大気や水は循環をしているのだとされている。




