39.続・剣とおっさん―6
空間に描かれた魔式が光り、その文字は一本の触手となってミノンに襲い掛かった。
ミノンはとっさに手から出ているフォルの槍を切り離したが、触手が触れた肩口がスパッと切れる。
もはやそれは触手というより、一本の鋭利な刃物のようだった。
「この触手の先端には細かな歯がついてる……これ以上、おじ様を傷つけるのなら、私が許さない」
「すげー、そんなことも出来るのか、ミルププ!」
「……触手マニアだから」
キットに褒められたミルププは、嬉しいやら恥ずかしいやら、複雑な表情で頬を赤らめた。
ミノンはギロッとミルププを睨みつけると、今度はミルププに向かってフォルの槍を放とうとした。
「させませんっ!」
しかしミノンが伸ばした腕に凍てつく波動が当たり、その腕はカチカチに凍りつく。
「…………っ!」
「今まで私達はお父様に守られてばかりでした。ですから、今度は私達がお父様を守る番ですっ!」
サリエラが放った氷の魔法だ。
右腕を凍らされたミノンの呼吸は徐々に荒くなり、相当、焦っているようである。
「もちろん、ミノンだって助けるぜ! だけど今だけは、ちょっと痛いのを我慢してくれよっ!」
両手の間に電撃を溜めたキットが、ミノンの背後から襲いかかろうとしていた。
連携を取りミノンを追い詰める三人だが――
「ま、待てっ!」
嫌な予感がして、グルゥはそれを止めようとする。
だが、走り出したキットの勢いは止まらずに、ミノンの背中に電撃のボールを直撃させた。




