39.続・剣とおっさん―5
「がッ…………」
グルゥの口から血が滴る。
その腹部には、ミノンの手から伸びた緑色の結晶が突き刺さっていた。
「ミノ……ン……」
全身から力が吸い取られていくのが分かる。
フォルを通して、グルゥの血統の力を根こそぎ奪おうとしているのだ。
「私が、分からない、のか……」
途切れ途切れの言葉で、グルゥはミノンに語りかけた。
だがミノンは無表情のような――いや、少しだけ怒ったような顔をして、グルゥに敵意を剥き出しにしている。
その背中からは、緑色の光の羽が生えていた。
「親父、大丈夫かっ!」
「仕方ありません、私達でミノンの動きを――」
「来るなッ!!」
後ろから駆けつけようとした二人に対し、グルゥはとっさに叫んでいた。
それと同時に、再び熱いものが込み上げてきて、ごふっと血の塊を吐いた。
「来るなって、どうしてだよっ!?」
「お前達は近付くんじゃない……、今のミノンは、危険すぎる……っ!」
グルゥの言葉を聞いて、キットとサリエラは戸惑いを隠し切れずに顔を見合わせた。
そうは言っても、グルゥ一人でこの状況を打開できるのか、心配で堪らないといった表情だ。
「ミノンのことは、私が何とかする――」
「ごめん。それ、無理だから」
赤い目を光らせたミルププが、グルゥの後ろから飛び出すようにしてミノンに襲い掛かっていた。




