39.続・剣とおっさん―2
城内の兵士達も町中と同じように、既に緑色の結晶の中に閉じ込められてた。
おかげで簡単に侵入できたのはいいが、国の中枢部を簡単に破壊できるミノンの力に、グルゥは背筋が寒くなるのを感じる。
(“災厄の子”……あながち、言葉としては間違っていないのかもしれないな)
だがグルゥは、ミノンがどんなことをしても、自分はそれを受け止めてやろうと覚悟を決めていた。
それが、サグレスを崩壊させた自分を救ってくれたミノンに対する、精一杯の礼だと思っていたのだ。
しかし――玉座の間に突入したグルゥが見たのは、目を疑うような光景だった。
「よしよし……よくやったな」
玉座の間にふんぞり返って座る、ウルヴァーサの姿。
その膝の上には、大量の返り血を浴びたミノンが足を揃えてちょこんと座ってる。
そして二人の前には、ドラグロアの王と思われる男が、翼を斬り落とされ、背中に剣を突き立てられた姿で倒れていた。
「これで……良かったの?」
「ああ、お前はよくやった。十分すぎるほどの活躍だ。だが……あと少しだけ、働いてもらう必要が出来たらしい」
ミノンの頭を撫でながら、ウルヴァーサはニヤリと不敵な微笑みをグルゥに対して向ける。
「ミノン……これも、お前がやったのか……っ!?」
血だまりの中、ピクピクと痙攣しているドラグロア王の姿を見て、グルゥは目の前が真っ暗になるような絶望感を覚えたのだった。




