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38.剣とおっさん―6

 ツァイセは興奮しながら一気にまくし立てる。


「どうだ? 痛いか? もっと抉って、もっともっと苦しめて殺してやるッ!! 貴様は、私のプライドに泥を塗ったのだからなッ!!」


「ぐあ……ああっ……!! い、痛い、やめてくれ……っ!!」


 ぐりぐりと爪を捻じ込まれ、体の中を掻き回される感覚にグルゥは悶絶した。

 だが、何よりもグルゥが辛かったのは――


「やめろと……言ったのに……っ!!」


 このままツァイセの好きなようにいたぶられて、死ぬわけにもいかなかった。

 自身の腹に突き刺さったままのツァイセの右腕を、グルゥはしっかりと左手で掴む。


 その瞬間、ピクリとも右腕を動かせなくなった事実にツァイセは驚愕した。


「な……ッ!? これだけの怪我で、まだこんなにも力が残っていたのか……!?」


「だから……君は『サタン』の血統を分かっていないのだ。これしきのことで、『サタン』は死にはしないし怯みもしない。そして――」


 グッと握り締めた右の拳に力を込めるグルゥ。

 二の腕の筋肉が隆起し、服が破れそうになるほどパンパンに張り詰めていた。


「今から私がやることは……この傷の、百倍は痛いぞ」


 渾身の力を込めた一撃を、ツァイセの胸元にぶち込むグルゥ。

 高速で回転しながら、ツァイセの体はウルヴァーサの慰霊碑にぶち当たった。


 衝撃で慰霊碑にヒビが入り、粉々に砕け散る。


「ああああああああああああああああああああああああああああああッ!?」


 その砕けた石片に埋もれるように、ツァイセはその場に崩れ落ちた。

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