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37.竜騎士とおっさん―4

「何かを勘違いしているようだな、貴様らは」


「どういう意味だ。私は確かに、ミノンを攫った男がウルヴァーサと名乗るのを聞いたのだ」


「将軍ウルヴァーサ……確かに彼の名は、ドラグロアでは知らない者はいないだろう。それだけの武勲を打ち立てた男だ。かく言う私も、尊敬している」


 女騎士の言葉に、どうやらウルヴァーサ自体はドラグロアに居るようだと、ほんの少しだけグルゥは安堵した。

 しかし――それも束の間の出来事だ。


「だが、彼が活躍した時代は今から百年以上も前、スフィア間の大規模な戦争があった時だ。第三次スフィア戦争の際に、英雄ウルヴァーサは、『アガスフィア』にてその命を落としているのだよ」


「…………なんだって?」


 思いもよらなかった女騎士の言葉。

 ウルヴァーサは故人で――しかも、百年以上も前に死んでいるときた。


「馬鹿なことを言うな……私はこの目で見たのだぞ!?」


「だから、稚拙な嘘を付くなと言っている。そのような狂言を行っている人間を城内に入れては、私の立場がないだろうが!!」 


 怒りと連動しているのか、女騎士の翼が激しくはためいていた。

 その姿からして、女騎士が嘘をついているようにも見えない。


「赤毛と黒毛の混ざった男だった。ウルヴァーサの子孫はいないのか?」


「いない。若くして死んだ彼は、戦のために生きる、修羅のような男だったそうだ。なんだったら、彼が眠る慰霊碑まで案内してもいいぞ? そこで真実を目の当たりにすれば、貴様らも自分達がどれだけ滑稽であるか分かるだろう」


 女騎士の申し出を、グルゥは不承不承ながら受け入れた。


 これ以上、城門の前で言い争いをしていても話が進まないし、ウルヴァーサという魔人が本当に故人なのか、それを確認するのも必要だと考えたからだ。

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