表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
363/984

EX5.裏・ゲームとおっさん―2

「は、は、はう……はう……」


 変貌は途中で止まり、ビルブーは目をぱちくりさせながら、尻を突き上げた姿勢でその場に崩れ落ちた。


「お、女の子に……女の子になってまうで……ほんま……」


 意味不明なことを口走っていたが、それだけ肉体的にも精神的にもダメージが大きかったのだろう。


「うふふ……ちょうどいいところに、良いクランケが見つかって良かったぁ」


 三つ編みのその少女は、突き刺した注射器の押子を引くと、シリンジの中が緑色の液体で満たされるのを恍惚とした表情で見ていた。


「にぃにってば、自分のことを放っておいて、みんなにフォルを分けちゃうんだもん……。私が頑張ってにぃにの分まで、フォルを集めて来なくっちゃねー」


 ビルブーは見る見るうちに痩せ衰え、あれだけパンパンに肉が詰まっていた体が、いつしか骨と皮だけの骸骨のような姿になっていた。


 あ、あ、あ、とビルブーはもはや、まともに声をあげることも出来ない。

 抽出できるだけフォルを抽出した少女は、満足げにビルブーの尻から注射器を引き抜いた。


「『幸福の薬園ウェルフェア・トゥ・ヘヴン』……きっとこのチートスキルが私に宿ったのは、にぃにを助けるためなんだから……っ!」


 少女の手から注射器がフッと消え失せると、後にはフォルの詰まったシリンジだけが残っていた。

 少女は鼻歌混じりに、スキップをしながらその場を後にする。


「いつか、あの子達のフォルも頂きたいなぁ……あんなに元気そうな子達なら、どれだけの量のフォルが取れるんだろう?」


 その目は夢見る少女のようにキラキラと輝いていたが、その輝きの中には、少なからず狂気も見え隠れしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ