EX5.裏・ゲームとおっさん―1
グルゥがユズを追ってケントラムを奔走していた最中、そのグルゥを追って、三人は三様の動きをしていた。
「オレはあっちの方を探すからな! お前らはこっちを探してくれ!」
「あっちとかこっちとか、そんな曖昧な言い方じゃ分からないですよ! 私は東に向かいます!」
「ひがし……? ……ほぅがくはゎかんなぃ……」
「太陽が昇る方角ですよ!」
「…………たぃょぅ…………?」
「ったく、引きこもりはこれだからっ!」
そんな三人娘のやり取りを、裏路地から覗く男が一人いた。
大きな腹を揺らしながら、まさかの出会いに鼻息を荒くしている。
「あ、あ、あの獣娘……! ワシのぷりちーなケツを台無しにしてくれた、にっくきメスガキではないか……!!」
トリカゴの元管理人、ビルブーである。
アルゴ公を失い、行く当てもなくなったビルブーは、裏のルートを使ってひっそりと『イルスフィア』まで帰還していたのだ。
しばらくは『アガスフィア』での出来事を忘れて、ゆっくり羽を伸ばそう――そう思ってた矢先に、まさかの宿敵が現れた。
「こ、殺す……!! めちゃめちゃにブッ穢した上で、アイツの親父の前でズタズタにしてやる……!!」
膨れ上がる悪意。
メリメリと皮膚が膨れ上がって、ビルブーは異形の姿へと変貌を遂げようとした――のだが。
「はうあッ!?」
突如、ビルブーの大きな尻に、極太の鉄の棒が突っ込まれた。




