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36.電子演算VS魔式演算 それとおっさん―4

 ユズは泣きべそをかきながらミルププに対抗しようとするが、その力量差は歴然だった。

 “0”の渦巻きがミルププを襲うが、高速回転を始めた“X”が、より大きな力で渦を吹き飛ばす。


「なんで……なんでだ……よぉ……っ!!」


 ついにユズが膝をつくと、“0”と“1”の空間は消え失せて、グルゥ達は元の世界に戻ってきた。


『充電してください』


 ユズが取り落としたスマートフォンの画面には、無機質な文字でそう書かれている。

 力を使い果たしたようだと、そのくらいのことはグルゥにも分かった。


「面白…………かった…………。…………でも」


 ミルププは魔式を描くのを止めると、虚ろな目をしたユズに近付いていく。

 ユズ自身、膨大な量の情報を操作し続けるのに疲弊して、相当、精神的な消耗をしたように見える。


「君は……私の友達を……おじ様を傷つけた……それは、許されることじゃ……ないんだよ……」


 優しく諭すような口調で言いながら、ミルププは、自分と同じくらいの背丈の少女を、細い腕できゅっと抱き締める。

 えっ、とユズは驚いて顔をあげた。


「な、なんで……?」


「私達、とっても似てるみたい……ライバルになれるから……君に名前を付けてあげる……」


 まさか、戦いを通じて友情が芽生えるとは。

 そんなマンガやアニメのような展開が本当にあるんだと、ユズは少し照れながら、ミルププの顔をじっと覗き込む。


 ユズを抱き締めたミルププの目は、どこまでも他人を蔑むような、冷徹な鋭い赤に変わっていた。


「雑魚が。その程度の力量でイキってんじゃねぇよ……クソガキ」


 『暴食』を司る『ベルゼブブ』の血統であるミルププ。

 そのため食らい尽くした後の食べカスに対しては、塵以下の関心しか残っていないのだ。


 ミルププは――硬直したユズの背中に、光るペンで直接魔式を描き込んだ。

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