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35.ゲームとおっさん―10

「よっしゃ完結っ!! ザ・エンドってね――」


 ついに到達した、思い描いていたクリア画面を目の当たりにして、ユズはその興奮を抑えることが出来ない。

 鼻息を荒くして、グルゥの腹から血が噴き出る瞬間を、今か今かと待ち構えていたが――


 だから、気が付くことが出来なかったのだ。

 後ろにいるパペッタ達が、獰猛な三つ首の獣に残らず喰い殺されていることに。


「えッ――」


 唸り声を聞いて振り返るユズ。

 その喉には、既に獣の牙が突き立てられていた。


「――っく!?」


 パペッタに物理的に干渉したということは、この獣も現実の世界のものではないはず。

 そう判断したユズは、とっさに『異世界式電子式多機能式アクセス・デバイス端末』で作り上げた世界を解除した。


 読み通り獣の姿は消えたものの、後には疑問だけが残る。


「な、なんだ今の……!? 『悪戯好きのパペッタ』には、あんなモンスターいなかったぞ……!?」


 バグか、はたまた自分でも知らなかった裏技なのか。

 だが『悪戯好きのパペッタ』は相当やり込んだゲームでもあり、そのどちらの可能性も無いことはユズには分かっていた。


「まさか――ハッキング!?」


「その機械…………とても不思議…………電子的な計算を即座に魔式演算に変換して、空間を制御する魔法の力場を生み出している…………」


 彼女は、まだユズも知らなかった、もう一人のグルゥの仲間――


「でも……だから干渉するのも……簡単…………私の魔式演算で、同じことが……出来るから…………」


 太陽の光を背に、倉庫の入り口に現れた小柄な少女のシルエット。

 遅れて現れたミルププは、ハァハァと息を切らしながら、輝くペンで空間に魔式を描き続けていた。

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