表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
343/984

35.ゲームとおっさん―1

 さて、とグルゥは考える。

 パペッタを捕まえ、当てもなく町を走り出してしまったが、恐らくこの怪現象の本質はユズの使用しているチートスキルのせいだ。


 つまり、いくらパペッタを倒したところで、ユズ自身を倒さなければ同じ現象が繰り返されるだけなのだろう。

 とすれば、やるべきことは一つだ。


「耳当てをつけた少女を見なかったか!?」


「ヒィッ!? そ、そんな子ならあっちの方に走っていきましたけど!?」


 グルゥに突然凄まれて、『マモン』の少年はチビりそうになるくらいに震えあがり、裏路地の方を指差した。


「助かる。驚かせて悪かったな」


 グルゥは空いている右手で少年の頭をポンポンと叩いたが、失敗した、と後悔する。

 血でべったりと濡れた手は、少年の頭と猫耳を真っ赤に染めてしまったからだ。


「あ、どうも」


 が、少年はそんなことなどまったく意に介していない様子で、素直にグルゥに礼を言った。

 やはりそうか、とグルゥは頭の中で一つの仮説を組み立てる。


(キットも私の怪我には無反応だった。やはりこのダメージは、私自身が見ている幻覚らしい。いや、幻覚というよりも、ユズの作り出した世界にまんまとハマってしまったということか)


 少年が指差した裏路地に駆け込んでいくグルゥ。

 するとそこには、木箱の上に腰掛けるユズの姿があった。


「あ、もう見つかっちゃった」


(そしてこのチートスキル、恐らくは私を罠にかけ続けるための、射程距離があるに違いない。でなければ、こんな近くでユズがうろちょろし続けるわけがない)


 ユズはグルゥではなく、手元の画面を見ながら何やら操作をしていた。

 そして、右の人差し指を勢いよく画面の上で滑らせる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ