表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
335/984

34.人形とおっさん―2

「あ、そ、それ……!?」


「え? ……ああ、これは以前に止まられたお客様の忘れ物ですよ。可愛らしいお人形ですよね」


 受付の言葉にグルゥは耳を疑う。


(可愛らしい? というか、忘れ物? あの老婆の店にあったのに?)


 先程見たものとは別のものだろうか?

 それだけ、この人形が流行っているのだろうか?


 だが、老婆は異国の人形と言っていたはずだ。

 同じものがいくつもあるとは考えにくい。


 じゃあまさか、先回りをされた?


「いつからその人形はあるんだ?」


「いつから? ……さあ、いつからだったでしょうか。はっきりとは覚えていませんが……あ、四人部屋、空いておりましたよ」


「すまない、部屋を変えてくれないか! ……三人部屋が一つと、少し大きな、一人用の部屋が一つ欲しい」


 唐突なグルゥの要求に受付のお姉さんは面食らったようだが、かしこまりました、とあくまでプロフェッショナルな対応をした。


(この胸騒ぎが、気のせいであればいいのだが)


 そういえば動く人形なんて怪談を子供の頃にデルガドスに聞かされて、しばらくの間一人でトイレにいけなかったと、そんな過去の思い出をグルゥは思い返していた。


 デルガドスのド下手くそな話が怖かったのではない。

 嫌がるグルゥを面白がって押さえつけ、るんるん気分で怪談を勢い良く話すデルガドスがトラウマだったのだ。


(昔は本当に酷い暴君だった……)


 でも今も大して変わらないか、とグルゥが思い直したその時だ。


 カタカタと音がした方向に目を向ける。

 受付のお姉さんの肩の後ろから、人形がゆっくりと顔を覗かせていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ