表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
331/984

33.乙女心とおっさん―6

「な、なんだぁ!? 娘って……いやいや、種族からして違わねーか!?」


 グルゥは折れた角を黒い布で隠してはいたが、魔人同士であれば、その体格からしてなんとなく察しがつくのだろう。


「魔人と人間の交配は、俺様達の間じゃ禁忌のはずだぜ。お、おっさん、うまいことやったんだな。尊敬するぜ、はは」


 若者はグルゥの姿にビビってはいるものの、だからと言って衆人監視の中で引き下がれないのが、『ベリアル』の血統の面倒くさいところである。


「お、お父様……」


「サリエラ……お前は、キット達と一緒のところに行っていろ。お前を傷つけるようなことを言ってしまったことについては、素直に謝る。だが、今の私は何よりそれ以上に――」


 サリエラの腕を掴んでいた若者の手を、グルゥはがしっと上から掴みかかる。


「非常に気分が悪いんだ……!! こんな人混みの中で、娘を貶めるような発言をされたのだからな……っ!!」


 グルゥに腕を引かれて連れて行かれる若者は、俺様死んだ、と絶望的な目をしていた。


「お、お父様っ!!」


 去り行くグルゥの背中に、サリエラは、これだけは伝えておかねば、と声をかける。


「私は……私は、まだまだお父様と一緒に居たいですっ!! これまでも……これからもずっと!!」


 それを聞いただけで、グルゥは重くなっていた心が一気に軽やかになったのを感じる。

 親指を突き上げ、背中でサリエラに答えると、グルゥは『ベリアル』の若者を人通りの少ない裏路地の方へと連れ込んだ。


「い、命だけはっ! 命だけはお助けをっ!!」


「何を勘違いしてるんだ?」


 人の視線が少なくなった途端、すぐさま命乞いを始めた若者に対し、グルゥはフフッと笑って答える。


「私は“情報収集”がしたいだけだ。……“将軍ウルヴァーサ”という名前に、聞き覚えはないかな?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ