33.乙女心とおっさん―2
「あ……す、すみません」
サリエラは慌てて謝ったが、今まで取られたことがなかった態度に、グルゥは内心、もの凄くショックを受けていた。
(え……も、もしかして嫌われたのか!?)
これまで、お父様、お父様と慕ってくれていたサリエラ。
時折、性への好奇心から暴走することがあったものの、今ではパーティの中の唯一の常識人として、グルゥ自身も頼りにしているところがあった。
「ひ、人通りが多くて砂埃が目に入っただけです。気にしないでください」
サリエラはそう言ったが、気にならないわけがなかった。
「なんて顔してるんだよ、親父」
「い、いや、その……まあ、なんだ? 宿が並ぶ通りの途中には、服飾関係の店が多く並んでいたみたいだし。少し、中を覗いてみてもいいんじゃないか」
「えー? だったら出店がいっぱいあったところで、食べ歩きをしよーぜ」
「本…………見たぃ…………」
あっちを立てればこっちが折れてしまう。
困った状況に、グルゥは本気で悩んでしまう。
「……いいですよ。服関係は後回しで」
「え? サリエラ?」
「おいしいものを食べる方が、みんな喜ぶでしょう。お父様がみんな一緒が良いって言うんですから、その方がみんな幸せです」
サリエラはそう言って微笑んでみせたが、その笑顔はぎこちなく、無理をして作っているように、グルゥの目には見えていた。




