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32.異世界勇者・陸とおっさん―1

 ブラックキマイラによって走る馬車の中で、ミルププは上機嫌で鼻歌を歌っていた。

 靴を脱いだ素足には、光るペンが握られており、何もない空間に忙しなく魔式を描いている。


「で……何をやってんだ? ミルププは」


 キットの当然の疑問だった。


 出会った時から今日に至るまで、ミルププは暇さえあれば、ずっと足で魔式を描いている。

 それも手先では別のことをしながら続けているので、脳内ではずっと並列的な処理がされているのだろう。


「“異世界航海士スフィアセイラー”の仕事だよ。『アガスフィア』ではミルププはイモムシの姿だったろう? あれは、『イルスフィア』でミルププが描いた魔式によって動いていたんだ」


「え……じゃあミルププは、こうしている間にも『アガスフィア』で別の出来事を見ているってことなのか!?」


「そぉぃぅ…………こと…………」


「天才……ってレベルじゃないですね。これも『ベルゼブブ』の血統が為せる技なのでしょうか?」


 ミルププの本業を知った二人は、驚愕と賞賛の入り混じった目で彼女を見つめた。

 ミルププは少し恥ずかしそうにして、グルゥの太い腕に顔を押し付け隠れようとする。


 むむっ、と二人の眉間に皺が寄った。


「な、なぁ親父……ミルププってもう二十歳なんだよな……?」

「そうですね……二十歳でそんなに甘えん坊なのは、教育上あまり望ましくないのでは……?」


 反対側の席で、ミルププに対しメンチを切る二人。

 まあまあ、とグルゥがたしなめる横で、ミルププはべーと舌を出している。

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