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31.血統とおっさん―5

「そういえば、何なんですかこれは?」


「“魔式演算”。私にもさっぱり理解は出来ないが、ミルププは魔法を論理的な式に組み立てて、その力を自在に操ることが出来るんだ」


「自在に、じゃないっ! 私に出来るのは、私の頭脳が解き明かせる範囲だけっ!! でもこの子の“形質反転”は、私の理解の範疇を完全に超えているっ!!」


 一人興奮して魔式を書き続け、キットの分析を行おうとするミルププ。

 取り残されたキットは、空間に描き出された輝く文字を、綺麗だなーとぼーっと見つめていた。


「だから言ったろ」


 そんなキットの肩を、グルゥはちょんちょんとつついて声を掛けた。


「ミルププはちょっと、オタクなんだ」


 ちょっと、というレベルではなかったが、ミルププは一心不乱に魔式を描き続けた結果――


「ギブアーップっ!!」


 完全に頭の中がショートしてしまい、輝くペンを放り投げ、本の海にダイブする。

 そのダイナミックは思考放棄の仕方に、グルゥはまたこれか、と苦笑いを浮かべた。


「まあまあ、別にキットの血統の謎を、解き明かして欲しいというわけではないんだ。ただ、こういうことがあるのか聞きたかっただけで」


「…………それ、本当に聞きたいの? おじ様」


 うつ伏せに寝そべったミルププは、チラリと赤い目で見やりながら言った。

 その言い方が妙に鋭いので、グルゥは面食らってしまった。


「なんだ? 聞いちゃいけないことだったのか?」


「そういうわけじゃ、ないけど。……“形質反転”をして生まれた子は一般的には凶兆とされ、忌み子として扱われるのが、普通だから」


 ミルププの言葉は――油断をしていたキットの心へ、ナイフのように鋭く突き刺さっていった。

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