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31.血統とおっさん―4

 空気が重くなり、それまでの話が途切れてしまう。


「っと、そうだ」


 グルゥはそこで、ようやくミルププに会いにきた当初の目的を思い出した。

 触手騒ぎやミルププの生い立ちの話などで、すっかり忘れてしまっていたのだが。


「ミルププ、キットのことはどう思う?」


「…………どぅって…………けもみみ、かぁぃぃ…………!」


「いや、そういうことじゃなくてな。この子、どうやらコボルトではなく、『マモン』の血統のようなんだ」


 ミルププに褒められたキットは、まんざらでもなさそうな顔をしていた。

 一方、ミルププは本来では有り得ないはずの『マモン』の姿を見て、眠そうだった目が一気に大きくなる。


「『マモン』……? 種族特徴は“猫耳”のはず……でも彼女のコレは明らかに犬耳……まさか、そんな……!?」


 ミルププの蚊の鳴くような小さな声が徐々に大きくなり、無気力そうにくすんでいた赤い目が、キラキラと宝石のような輝きを得るまでになっていた。

 鼻息も荒くなり、ミルププはキットの眼前に近付くと、おもむろに耳を触り始める。


「わ!? なんだよ、お前までオレをもふるつもりなのか!?」


「初めて見た……血統の“形質反転”……! す、すごい!! こんな子、今まで見たことない! 私の研究のサンプルにすべき逸材!!」


 興奮してきたミルププは、先程までのキャラなどすっかり忘れてしまったように、大きな声で喋り始めた。

 その変貌ぶりに、キットは若干怖くなって引いてしまう。


 ミルププはずっと足の指に挟んでいたペンを手で持つと、何もない空間に幾何学的な文字列を描き始める。

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