31.血統とおっさん―1
十分後、グルゥは全てに燃え尽きたかのように真っ白になっていた。
三人の娘はどうすることも出来ず、こちょばされているのをじっと眺めていたため、大事なものを奪われてしまった……とグルゥは誰も気にしていないどうでもいい主張をしていた。
「で、その……ミルププがなんで『ベルゼブブ』の血統かって、今聞いてもいいのかよ? また今度にするか? 親父」
「い、いや、今でいい……。……デルガドス王には、二十人近くの子供がいる。さらに私のような義理の親子関係を含めれば、その子孫の数は優に百を超えるだろう」
「そ、それはまた、偉く張り切ったおっさんだったんだな」
その数の多さに、キットは若干引いていた。
「まあ、『サタン』は魔人の血統の中でも、とにかく血気盛んで戦うことが多い種族なのだ。そういうこともあって、王も子孫作りに必死だったのだよ」
「へぇ……見かけによらずロマンチストだったのですね、あの方は」
「ロマンチスト?」
サリエラから出た単語に、キットは首を傾げて思わず聞き返してしまった。
「むしろこの数、ロマンチストとは正反対のものに感じるけどな、オレは」
「そうでしょうか? だってそれだけ、デルガドス王は熱心にお星様に願いを掛けていたということでしょう?」
サリエラの放った言葉に、全員の目が点になる。
「ああああああああああああああああああああっ!?」
「うわ!? なんだ親父、いきなりでかい声を出してっ!」
「い、いや何でもない!! ……そうだ、そういえば――」
サリエラに出会いたての頃、そんな嘘をついて子供の作り方を誤魔化していたと。
グルゥは今になって思い出し、下手なことを言わなければ良かった、と後悔した。




